コラム:ヤマトタケルについて

はじめに

東葛合唱祭での定番中の定番曲、「ヤマトタケル」。

東葛では20年以上前から合唱祭で歌われ続ける曲ですが、実はかなり特殊な合唱曲なのです。

このページでは、そんな「ヤマトタケル」について解説していこうと思います。


「ヤマトタケル」の原曲

東葛合唱祭の定番曲「ヤマトタケル」は、初めから合唱曲として作曲されたものではなく、三枝成彰作曲の「オラトリオ ヤマトタケル」の合唱編曲版です。
(因みに、作曲の三枝成彰氏は、東葛合唱祭での同じく定番曲「川よ とわに美しく」も作曲した人物です)

当wiki調べによれば、東葛合唱祭で「ヤマトタケル」は1989年に初演されています。
尚、オリジナルの「オラトリオ ヤマトタケル」も1989年初演なので、驚いたことに、オリジナルが出た年にすぐ編曲され合唱祭で歌われた、ということになります。


「オラトリオ ヤマトタケル」には初版と改訂版があり、
  ・1989年 初版 初演
  ・1994年 改訂版 初演
というタイミングで世に出ています。

また、東葛合唱祭では「愛と平和への出発」と題された楽曲がラストの定番として頻繁に演奏されています。
その「愛と平和への出発」は、市販の改訂版CDには未収録ながらも、初版の「オラトリオ ヤマトタケル」には以下の情報により収録が確認されています。

(1)国立国会図書館所蔵・1990年演奏の初版演奏録音LPを視聴した結果、終盤に「愛と平和への出発」が演奏されていた(東葛卒業生が図書館で現物を視聴し確認済)
(2)1992年8月9日にNHK-FMで初版(の一部)が録音放送され、その中に「愛と平和への出発」含まれていた。音源も残っているため間違いない(当Wiki問合せフォームに寄せられた情報より)

よって、上記の初版の収録状況や東葛での初演時期から判断すると、「愛と平和への出発」を含めた合唱編曲の楽譜は、初版の「オラトリオ・ヤマトタケル」を基にしている可能性が極めて高いです。
現在、初版の「オラトリオ ヤマトタケル」の譜面や演奏音源は入手が極めて困難であるため、実際に初版オラトリオにて東葛合唱祭で歌われる箇所を全て確認することはできませんが、上記の理由により、初版が基になっていると充分考えられるでしょう。

改訂版の方であれば「オラトリオ ヤマトタケル」のライブ演奏CDが市販されています。
ほぼ絶版の古いCDのため、入手方法はよほどコアな店舗で購入するか、ネットで中古品を購入するかの2択。
欲しいと思ったら、完全に入手できなくなる前に早めに入手することをオススメします。


因みに、「愛と平和への出発」は、前述の通り市販の改訂版CDには収録されていません。
東葛で長らく愛され歌い継がれ、初版のオラトリオ演奏でも終盤に数千人が大合唱する圧倒的なクライマックスを誇る名曲が改訂版CDに収録されていないという謎。
未収録の理由は「楽譜上は存在しているが、CD化の際に何らかの都合で収録されなかった」または「改訂版編曲時にこの楽曲自体が削除された」のどちらかが考えられます。
その謎を解くカギとして、改訂版収録CD付属の解説ブックレットに掲載された作曲者・三枝成彰の言葉に注目してみます。

『(前略) ……今回(※改訂版)のヤマトタケルは会場をサントリーホールに移し、両国国技館版(※初版)では二つだったオーケストラとコーラスを一つに編成し直し、第6楽章の後半を新たに作曲しました。……(後略)』
と、作曲者は述べています。
つまり、改訂版では楽曲の「追加」はあるが、「削除された」とは一言も書かれていません。

あの印象深いメロディーと歌詞を持つ「愛と平和への出発」がもし改訂版で削除されていたとしたら、この文章で「削除された」と明言されていたはず……と考えるのが自然です。
よって、状況証拠による判断ではありますが、初版で「愛と平和への出発」が存在している以上、改訂版でも楽譜上は存在している可能性が高いと思われます。

近年は、大阪の合唱団などでオラトリオ版のヤマトタケルが演奏される機会も徐々に増えてきています。
東葛で長らく愛されるヤマトタケルの謎が、ひとつ解けるチャンスがまた訪れることになるかもしれません。


「ヤマトタケル」は誰が編曲したか

 東葛合唱祭ではお馴染みの「ヤマトタケル」、誰が″最初″に合唱に編曲したのかは判っていません。
 東葛で受け継がれている「ヤマトタケル」の楽譜は、一般に販売されているものではなく、合唱祭に持ち込まれた経緯も20年以上経った今となっては情報が全く無い、という状況です。
 当時の東葛生(またはOB)が編曲したという噂もあるが、あくまで噂の域を出ないです。
 勿論、一般販売もされていないため、店舗で楽譜を新たに入手することもできません。
 (実質、東葛と一部他校でのみ入手可能、ということになります)

 しかし、卒業生の方々の口コミや証言を基に演奏を分析した結果、
 「ヤマトタケルの楽譜(特に伴奏譜)は、初演時のものが現在まで受け継がれているのではなく、
  オラトリオ版を基にした合唱譜が新たに追加されたり、今まで歌われていた楽曲が更に再編曲されている」
 ということが分かってきました。

 合唱譜追加や再編曲をしたのは、当時ヤマトタケルを演奏した伴奏者の生徒である場合が多い模様です。

 合唱譜追加や再編曲については現在分析を進めている最中のため、ある程度情報がまとまり次第記事を追加する予定です。
 (明らかなアレンジ違いについては、後述の「東葛合唱祭でのヤマトタケル演奏箇所」で情報を確認できます)

東葛合唱祭の演奏とオラトリオ版曲名の対応

合唱版での歌詞 原曲オラトリオ版での曲名
今日はめでたい新宮の宴~ 第三楽章「西征」~クマソタケルの宴
クマソタケルをうち滅ぼして~ 第三楽章「西征」~勝利の合唱
タタリだタタリだ、海の神の~ 第四楽章「東征」~海の戦い(嵐)
ゆけーゆけゆけーヤマトタケルよ~ 第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
我等ヤマトの精鋭は~(中略)かたちは人の姿だが~ 第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
うぬぼれるなーうぬぼれるな~ 第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ(※1)
哀れ、草薙の剣なきヤマトタケルノミコトは~ 第五楽章「暗雲」~深傷を負ったヤマトタケル
雷より強い神の子と云われた~ 第六楽章「昇天」~励ましの三重唱
天よ、助けたまえ~ 第六楽章「昇天」~励ましの三重唱
ヤマト我が故郷、一目見て死にたい~ 第六楽章「昇天」~励ましの三重唱(※2)
ゆけーゆけゆけーヤマトタケルー 愛するヤマトのために~ 第四楽章「東征」~オトタチバナ姫をめとる(※3)
天から降りてきて、役目を終えるや~ 第六楽章「昇天」~昇天
白鳥よ、ヤマトタケルの魂よ~空に舞え、永遠に 第六楽章「昇天」~昇天(※4)
時うつり、人は変わり~ 「愛と平和への出発」(※5)

※1:一部クラスではソプラノのみ音を低くしている場合がある
※2:原曲オラトリオでは合唱演奏だが、合唱祭ではソロ演奏する場合もある
※3:合唱祭ではオラトリオ版よりもキーが低い
※4:歌詞付き合唱、歌詞なし合唱+台詞、歌詞なし合唱、他箇所出典の歌詞なし合唱+台詞の4パターンがある
※5:初版オラトリオには確実に収録されているが、改訂版では削除されている可能性もわずかにあり。前奏が複数パターン存在するほか、歌の部分も年代やクラスにより違いがある。大きく分けて原曲オラトリオでいう序盤の歌詞「時うつり、人はかわり~」、中盤の歌詞「白鳥が飛んだ日から~」の部分のみ、または序盤中盤両方にプラスして「帰ろう~愛と平和への出発」というラストに繋げるというパターンで歌われる(ややこしい表現で申し訳ありません)


東葛合唱祭でのヤマトタケル演奏箇所

以下は、過去に合唱祭で歌われた各クラスが、原曲オラトリオのどの楽曲を歌ったのかを洗い出したものです。
尚、筆者の音源視聴可能年代に限りがあるため、一部の年は楽曲未記載となっています。

*補足*
『第六楽章「昇天」~昇天』は、※の注意書きがないものは現在お馴染みの「天から降りてきて~」の台詞+背景コーラスのものです。


1989年 3H
(音源未所持のため確認できず)

1991年 3J
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※「うぬぼれるな」が4回
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱(雷よりも強い神の子~、天よ助けたまえ~)
「愛と平和への出発」※前奏が長い(かつ他クラスと異なる)、全体のキーが低い、別メロディー・歌詞あり(この部分を2回繰り返している。前奏とキー以外は1993年3Dと一致)ソプラノソロなし、最後のah無し

1993年 2J
(音源未所持のため確認できず)

1993年 3D
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱(雷よりも強い神の子~、天よ助けたまえ~)
「愛と平和への出発」※前奏が長い、別メロディー・歌詞あり(この部分を2回繰り返している)ソプラノソロなし、最後のah無し

1994年 2J
(音源未所持のため確認できず)

1994年 3H
(音源未所持のため確認できず)

1996年 3J
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天 ※コーラスのメロディは同じだが台詞は例年と異なる。出典はオラトリオ版同曲、定番台詞の直前の語部パートの語り
第六楽章「昇天」~昇天 ※オラトリオ版で「天から降りてきて~」の語りの後に続く合唱部分(白鳥よ~空に舞え、永遠に)
「愛と平和への出発」※前奏が長い(かつ他クラスと異なる)、別メロディー・歌詞あり(この部分を2回繰り返している。前奏以外は1993年3Dと一致)ソプラノソロなし、最後のah無し

1997年 3F
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天 ※コーラスのメロディは同じだが台詞は例年と異なる。出典はオラトリオ版同曲、定番台詞の直前の語部パートの語り
第六楽章「昇天」~昇天 ※オラトリオ版で「天から降りてきて~」の語りの後に続く合唱部分(白鳥よ~空に舞え、永遠に)
「愛と平和への出発」※前奏が長い、別メロディー・歌詞あり(この部分を2回繰り返している。メロディの細部がこのクラス以降変わる)ソプラノソロなし、最後のah無し

1997年 3J
第六楽章「昇天」~昇天 ※オラトリオ版同曲の冒頭のヴォカリーズ(歌詞無し)、アカペラ
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征 ※語りのみ。テノールパートの歌詞の一部を語りとして挿入
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱(雷よりも強い神の子~、天よ助けたまえ~)
第六楽章「昇天」~昇天 ※コーラスのメロディは冒頭のヴォカリーズと同じ。出典はオラトリオ版同曲、定番台詞の直前の語部パートの語りで、オラトリオ版ではこのヴォカリーズを背後にこの台詞が語られている
第六楽章「昇天」~昇天
第六楽章「昇天」~昇天 ※オラトリオ版で「天から降りてきて~」の語りの後に続く合唱部分(白鳥よ~空に舞え、永遠に)

1998年 3H
第四楽章「東征」~海の戦い(嵐)
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
※音源データ損傷により演奏の途中までしか確認できず。
上記以外にも「愛と平和への出発」等が歌われている可能性あり

1999年 3G
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」 ※前奏が長い、途中をカットしている、最後のah無し

2000年 3G
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征 ※テノールパートの歌詞の一部を語りとして挿入
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※前奏が長い、別メロディー・歌詞あり、ソプラノソロあり、最後のah無し

2002年 3H
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」

2003年 3B
第三楽章「西征」~クマソタケルの宴
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第四楽章「東征」~海の戦い(嵐)
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱(雷よりも強い神の子~、天よ助けたまえ~)

2003年 3F
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第五楽章「暗雲」~深傷を負ったヤマトタケル
「愛と平和への出発」※ソプラノソロあり

2004年 3I
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第五楽章「暗雲」~深傷を負ったヤマトタケル
「愛と平和への出発」

2005年 3B
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱
「愛と平和への出発」 ※前奏が長い、別メロディー・歌詞あり、ソプラノソロなし、最後のah無し

2005年 3E
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」 ※最後のahは無し

2006年 3C
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」 ※最後のahは無し

2006年 3D
第三楽章「西征」~勝利の合唱
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱 ※ソロは男声のみ、女声は合唱
第四楽章「東征」~オトタチバナ姫をめとる

2007年 3C
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征 ※伴奏に鈴付き
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~励ましの三重唱
第四楽章「東征」~オトタチバナ姫をめとる

2007年 3E
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」 ※最後のahは無し

2008年 3E
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」 ※最後のahは無し
 
2009年 3B
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ
第六楽章「昇天」~昇天 ※台詞はクラスオリジナル
「愛と平和への出発」 ※最後のahは無し

2011年 3D
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※『我等ヤマトの精鋭の~雨を裂き雹を裂き稲妻を裂き』のソプラノパートを低い音に変更
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※最後のahは無し

2012年 3H
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※『我等ヤマトの精鋭の~雨を裂き雹を裂き稲妻を裂き』のソプラノパートを低い音に変更
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※最後のahは無し

2013年 3A
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※『我等ヤマトの精鋭の~伊吹山の神の化身を討ち滅ぼしてみせる』のソプラノパートを低い音に変更
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※最後のahは無し

2014年 3B
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※『我等ヤマトの精鋭の~伊吹山の神の化身を討ち滅ぼしてみせる』のソプラノパートを低い音に変更
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※最後のahは無し

2016年 3F
第四楽章「東征」~日本の平和のための出征
第五楽章「暗雲」~凱旋の歌
第五楽章「暗雲」~ヤマトタケルのうぬぼれ ※テンポを曲中で頻繁に変更、『我等ヤマトの精鋭の~雨を裂き雹を裂き稲妻を裂き』のソプラノパートを低い音に変更
第六楽章「昇天」~昇天
「愛と平和への出発」※最後のahは無し
※全体的に伴奏アレンジあり


 1989年以降から現在までヤマトタケルは計29回歌われていますが、判っている範囲で全く同じ編成なのは

 【パターン1】
  ・2005年 3E
  ・2006年 3C
  ・2007年 3E
  ・2008年 3E

 【パターン2】
  ・2011年 3B
  ・2012年 3H

 【パターン3】
  ・2013年 3A
  ・2014年 3B

 以上の3パターンであり、少なくとも17クラスは何らかの部分で違った選曲・アレンジをしているのが分かります。
 また、上記で同パターンと判断しているのは「歌うメロディが同じ」という基準によるものであるため、伴奏譜が異なるものを別にすると更にパターンは増えることになります。
 (例として、パターン1の2005年3Eと2006年3Cは「日本の平和のための出征」の伴奏譜が異なります)
 東葛合唱祭では「一つの組曲から数曲を選曲・抜粋して歌う」楽曲がいくつもありますが(例:筑後川・蔵王・土の歌etc)、ここまで編成パターンが多岐に亘るのは他にないでしょう。
 この、選曲やアレンジの自由度の高さが、東葛合唱祭で長く愛され、歌われ続ける一つの理由であると考えられます。

 ただし、編成パターンにはある程度の傾向があり(これはヤマトタケルに限った話ではありませんが)、編成をよく見ると、その当時の流行や、編成の工夫の成果などが見えてきます。
 例えば、2005年を境にして最初の曲が「勝利の合唱」から「日本の平和のための出征」に変化しているのが判ります。
 これは、「日本の平和のための出征」を歌った2005年3Eの演奏が非常に完成度が高く(総合順位2位)、後の世代がその良例を参考にして選曲したからだと思われます。
 (実際、この初曲変化の影響は大きく、これにより「ヤマトタケル」の演奏難易度が下がったとも言われています。それでも非常に難しいですが……)
 上記で「全く同じ編成」は3パターンあると述べましたが、実はこの3パターンはソプラノの音を変更している部分(詳しくは後述)が違っているだけで、実は選曲については全く同じです。これもやはり、後の世代が良例を参考にしているからなのかもしれません。
 
 また、2011年以降は「ヤマトタケルのうぬぼれ」のクライマックス『我等ヤマトの精鋭の~雨を裂き雹を裂き稲妻を裂き(またはその手前まで)』の部分のソプラノパートが、低い音に変更されているのも特徴的です。この部分はソプラノがあまりにも高音が続くため、ソプラノの負担を軽くすることで完成度を上げようとした、編集の工夫が窺えます。
 尚、この『うぬぼれるな~』のフレーズで有名な「ヤマトタケルのうぬぼれ」は、音源を確認できる範囲ではありますが、唯一全てのクラスで歌われています。
 「ヤマトタケル」といえばコレは外せない!といったところでしょうか。

 東葛合唱祭で「ヤマトタケル」を歌う場合、必然的に選曲や演出を考えることになるため、上記の記録を参考にして「過去にはどんな曲を選んで(どんなアレンジをして)いたのか」を知り、自分のクラスでやりたい・目指したい演奏をするための材料にしてもらえればと思います。
 上記を見れば分かりますが、中にはそのクラスしか歌われていない曲もあるので、「最近は歌われてないようなヤマトタケルを歌いたい!」と考えて選曲するのもアリです。
(例えば、2005年3Bは6年振りに「愛と平和への出発」をかつて歌われていたフレーズで歌っています)
 前述した通り、選曲の自由度が高く、クラスの独自性を出しやすいのが「ヤマトタケル」の特徴といえるでしょう。


おわりに

 「ヤマトタケル」の特徴を総括すると

  ・オラトリオを編曲した合唱曲である
  ・誰が最初に合唱に編曲したかは不明
  ・過去に何度か、合唱譜の追加や再編曲がされている
  ・選曲やアレンジの自由度が高く、クラスのオリジナル感が強く出せる
  ・ 『 うぬぼれるな 』 は外せない

 等、といった事が挙げられます。

 東葛で最初に歌われ始めてから26年、うち合唱祭で歌われた年数は20年。
 1年で2クラス歌われた年もあるため、歌われた回は累計29回にも達します。
 そんな愛され続ける「ヤマトタケル」をこれからも大切にしてもらいたい、という願いを込めて、このコラムを締めたいと思います。

  • 最終更新:2017-06-11 22:19:13

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